子どもが学校でいじめにあって不登校になる。 それは昔からよくある話だと思われるかもしれません。しかし、いざその当事者となり、家族として向き合う日々は、言葉では言い表せないほど耐えがたく、そして孤独で苦しいものです。
「あの(いじめた)子が、そんなことをするはずがない。何かの勘違いではないか?」 「学校としては適切に指導しました。もう大丈夫ですから」
そんな風に、学校側が事態を過小評価し、真摯に取り合ってくれないとき、親子の心は二重に傷つきます。これは、正義感に溢れ、誰よりも学校が大好きだった一人の少年と、その家族が直面した180日間の闘いの記録です。
1年生の頃からずっと、先生方に言われてきた言葉があります。
『クラスに一人、Aくんのような子が欲しい』
明るく、正義感が強く、困っている子がいたら真っ先に助けに行く。いじめなんて絶対に許さない。そんな彼が教室にいるだけで、クラスの空気がパッと明るくなる。親バカではなく、学校からもそんな『優しくて強い子』として信頼を寄せられていたのが、私の息子、Aくんでした。
しかし、2025年10月3日。その輝いていた日常は、一瞬にして奪われました。
1. 10月3日、一校時の休み時間に起きたこと
その日は、何の変哲もない金曜日になるはずでした。 事件が起きたのは、一校時が終わった後の休み時間。Aくんは、同じクラスのXくんから、突然首を強く絞められました。
理由もわからぬまま、強い力で首を圧迫され、押し倒される。 Aくんの顔色はみるみる悪くなり、それを見た先生がAくんを呼び止めて話を聞いたことで、事態が発覚しました。
2. 保健室での耳を疑う対応
顔色が悪いAくんは、保健室へ連れて行かれました。 しかし、そこで待っていたのは、傷ついた子どもを抱きしめる言葉ではありませんでした。
「たかが首を絞められただけでしょ。そこに座っていなさい」
養護教諭から放たれたその言葉に、Aくんはどれほど絶望したでしょうか。「首を絞められる」という、命の危険を感じるほどの暴力を受けた直後の子どもに、教育の場が最初にかける言葉がこれだったのです。
Aくんはショックと痛みを抱えたまま、ただ椅子に座らされて時間を過ごすことになりました。
3. 「お迎えに来れますか」職場への連絡
私が異変を知ったのは、午後4時を過ぎてからでした。 仕事中だった私の携帯に履歴があり、その後職場に連絡が入りました。
担任のH先生からの電話の内容は、「首を絞められたこと、お迎えに来れますか」というものでした。しかし、仕事の状況ですぐには抜けられず、5時過ぎのお迎えになることを伝えると、Aくんは一人、歩いて下校することになったのです。
4. 帰宅後の異変。お昼ご飯が食べられなかった理由
午後5時すぎ、帰宅したAくんの顔を見て、私は言葉を失いました。 彼はぽつりぽつりと話し始めました。
- 学校でお昼ご飯が全く食べられなかったこと
- 喉が痛くて、嘔吐してしまったこと
- 今も息が苦しく、喉に違和感があること
のどが痛くて夕飯がのどを通らず、すぐに病院へ向かいました。レントゲン検査の結果、気管や動脈に目に見える大きな損傷はなかったものの、医師からは「違和感が続くようなら、いつでもすぐに受診してください」と告げられました。
身体の傷は「異常なし」かもしれません。 しかし、この日から、Aくんの心には深く、暗い影が落ちることになったのです。
正義感が強く、誰からも愛されていた息子。 その彼が、なぜこれほどの苦しみを背負わなければならないのか。そして、学校側の対応への不信感は、ここからさらに加速していくことになります。
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