R8.5.10
「うちの子、体格もいいし、好き嫌いはあるけどモリモリ食べるから栄養は足りているはず」 もしそう思っているとしたら、少しだけ注意が必要です。
今、子育て現場で問題になっているのが「新型栄養失調(しんがたえいようしっちょう)」です。 カロリー(糖質や脂質)は十分に足りているのに、脳や心の発育に不可欠な「特定の栄養素」が劇的に不足している状態を指します。
今回は、外食や偏食がなぜお子さんの「パニック」や「多動」を悪化させてしまうのか。その意外な真実を保健師さんに伺いました。
1. 食べたもので「脳」は作られる
私たちの脳は、食べたものから作られる「神経伝達物質(脳のメッセージ)」によって動いています。
- 心を穏やかにする「セロトニン」
- 集中力を高める「ドーパミン」
これらを作る材料は、「タンパク質」「鉄分」「亜鉛」「ビタミンB群」といった栄養素です。 しかし、外食やお惣菜、菓子パンなどの「子どもが喜ぶメニュー」は、往々にして炭水化物(糖質)と脂質に偏りがち。材料が足りなければ、脳のメッセージは正しく伝わらず、感情のコントロールが効かなくなってしまうのです。
2. 外食・偏食が生む「脳のオーバーヒート」
外食やレトルト食品は、お子さんにとって「美味しい(=味が濃い・甘い)」ものばかりです。偏食があるお子さんの場合、ポテトチップスや唐揚げ、麺類など、決まったものしか食べないことも多いでしょう。
ここで起きるのが、脳の「エネルギー過剰と栄養不足」という矛盾です。
- 糖分の摂りすぎ: 血糖値が急激に上下し、イライラやパニックを引き起こしやすくなります。
- 添加物と塩分: 濃い味付けは脳を興奮させ、多動や落ち着きのなさを助長することがあります。
「見た目はぽっちゃりしていて元気そう。でも、体の中(脳の栄養)はスカスカ」。
この状態が、お子さんの「落ち着きのなさ」や「キレやすさ」の正体であるケースが少なくないのです。
3. 保健師が見た「改善した家庭」の共通点
保健師さんが家庭訪問や相談で接する中で、生活習慣の改善によってお子さんが落ち着いたケースには、ある共通の「食事のルール」がありました。
それは、難しい料理を作ることではなく、「足し算」と「置き換え」です。
- 「タンパク質」をプラスする: 朝食をパンだけで済ませず、卵や納豆、豆腐を一口でも足す。
- 「無糖」に置き換える: 喉が渇いた時のジュースを、お茶や水に変える。これだけで血糖値の乱高下が防げます。
- 「外食の選び方」を変える: 外食の際も、単品のうどんだけでなく、卵や肉などのタンパク質が含まれるメニューを意識して選ぶ。
4. 2週間で「顔つき」が変わる子も
味覚の細胞が生まれ変わるには約2週間かかります。
少しずつ、無理のない範囲で「脳の栄養」を意識した食事に変えていくと、
2週間経つ頃には「目が合うようになった」「パニックの時間が短くなった」という変化を感じる親御さんもいます。
お子さんの「育てにくさ」を、愛情不足のせいにしないでください。
まずは「脳のガソリン(栄養)」を入れ替えてみることから始めてみませんか?
次回は、生活習慣編の第2弾。 「夜更かしとスマホが壊す、子どもの心のブレーキ」について。睡眠不足がいかにして「特性」を悪化させてしまうのか、そのメカニズムに迫ります。





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