大人の不信感や、しつこい二次被害。一度壊れかけた息子の心を繋ぎ止めてくれたのは、先生の指導でも、学校のルールでもありませんでした。それは、毎朝玄関のチャイムを鳴らしてくれる親友の存在であり、帰り道に駐車場までついてきてくれる仲間の足音でした。
1. 毎朝のチャイム。親友・Iくんが届けてくれたもの
2月から3月にかけて、息子にとって一番大きな支えとなったのは、親友のIくんでした。
息子が学校に行けなくなっても、Iくんは変わらず毎朝、家まで迎えに来てくれました。「一緒に行こう」というその一言が、どれほど息子の背中を押してくれたか。
たとえ学校の敷地まで行けなくても、Iくんと一緒に歩くその時間だけは、息子は「普通の中学生(小学生)になれる自分」を感じられていたのだと思います。パニックを起こして逃げ帰ったあの日も、励ましてくれたのはIくんでした。
2. 「6校時まで受けれる力は、あと9%」
3月に入り、息子は「6年生に向けて、少しずつ学校へ行く練習をする」と自分で決めました。 ある朝、息子は私にこう言いました。
「今日、6校時まで学校に居られる力は……9%かな。5校時までなら、20%くらいあるけど」
この言葉を聞いたとき、私は胸が熱くなりました。 かつて「太陽」のようだった子が、今はわずか数パーセントの勇気を必死にかき集めて、戦場のような学校へ向かおうとしている。
「9%もあれば、十分すぎるほど偉いよ。頑張っておいで」
そう言って送り出した背中。その日は、親友のIくん、そして駐車場まで一緒に歩いてくれたOくんやKくんの支えもあり、息子は自分の足で最後まで学校に留まることができました。
3. 守ってくれる仲間、そして揺るがない正義感
学校へ行くと、依然として二次被害の張本人・Yくんからの冷ややかな視線や嫌がらせ(わざと隣で舌打ちをする、先生に帰宅時間を聞き出すなど)は続いていました。
しかし、以前と違うのは、周りの友達の対応でした。 息子が帰る時には、Oくんや仲間たちが「遅刻しちゃうかも」と心配しながらも、駐車場に停めた私の車のところまで一緒に見送りに来てくれるようになったのです。
また、息子の「正義感」も少しずつ回復していきました。 放課後、友達が動物に対して乱暴な行為をしようとした時、息子ははっきりと「それは良くないんじゃない?」と言えるようになりました。
一度は沈黙させられた彼の「正義の声」が、本当の仲間の前で、再び響き始めた瞬間でした。
4. Chromebook事件。正義感ゆえの葛藤
一方で、学校側との温度差は最後まで埋まりませんでした。 息子がYくんに対し、「こういうところを直してほしい」という意見書をChromebookで作成したときのことです。仲間に相談し、「いいと思うよ」と背中を押されて送信したそのメッセージを、学校側は「不適切な利用」として片付けました。
先生方は、息子の「対話しようとする努力」や「いじめに抗う正義感」を汲み取るのではなく、ただ「端末のルールを破った」ことだけを取り上げ、息子を叱責しました。
大人はルールで子どもを縛り、子ども(友達)は心で息子を救う。 このあまりに対照的な光景が、3月の学校生活には溢れていました。
それでも、息子は一人ではありませんでした。 「しののめ教室」で得た心の余裕と、自分を待っていてくれる本当の友達。その二つの車輪があったからこそ、息子は次年度へ向けて、止まっていた時計の針を動かし始めたのです。
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